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喪141
モテないしきーちゃんと高校に行く
基本情報
収録巻 | 14巻 |
英題 | I'm not popular, so I'll take Kii-chan to high school. |
あらすじ
前話から引き続きゴールデンウィーク(GW)関連の、途中から短編へと移行する変則的な構成のエピソード。
5月1日(水)。黒木智子は「勉強しないとなー…」と思いつつも、大学見学のために前日まで3日間連続(喪138・139・140)で遠出していたからかやる気が出ず、自室のベッドでダラダラ過ごしていた。智子は家のチャイムが鳴っても、そのうちやる気も出るかと思いながらダラけていたが、突然自室のドアが開き里崎希心が姿を現した瞬間、今日は長い一日になりそうだと予感していた。
前年度の冬休み(喪103・104)以来、4ヶ月ぶりの再会となった智子ときーちゃん。智子はきーちゃんの突然の来訪に驚くが、きーちゃん曰く、今年(の冬)は智子が受験で忙しくなるから早めに来たのだという。きーちゃんはカレンダーを見ながら智子に「昨日 大学見に行ったの?」と尋ねた後、智子に見せたいものがあると言いながら一枚のディスクをリュックから取り出した。きーちゃんがゲーム機からディスクを再生すると、画面に映し出されたのは自分が好きだと言う、「とある動物擬人化アニメ」で、智子に「お姉ちゃんこれ好きでしょ?」と尋ねてきたが、きーちゃんが「ケモナー」だと感じていた智子は放送当時、黒木智貴と一緒に裏で放送されていたバラエティ番組を観ていたために件のアニメは未見だったのだ。アニメの視聴中ならきーちゃんも奇行には走らないだろうと推測した智子はこれを機にきーちゃんと一緒にアニメを観ることにしたが、さほど興味がなさそうな様子だった智子は途中であくびをしてしまう。
それに気付いたきーちゃんは「つまらない?」と尋ねてくるが、智子がこういうジャンルのアニメは元々そんなに観ないからと返事するときーちゃんはもっとエッチなやつじゃないとダメなのか、それとも…と思い、続いて智子に最近好きなことはあるかと尋ねた。智子から予想だにしないラップという返答が返ってくると、きーちゃんは相変わらずびっくりさせるなーと思いつつ、急に智子の雰囲気が変わり、大人っぽくなった様な気がしただけでなく、以前の智子なら予定なんかなかったはずだとも思っていた。
きーちゃんは智子が遠足で行ったネズミーランドの袋と写真台紙が机の上に置いてあったことに気付き、早速台紙を開けると智子が田村ゆり・吉田茉咲と一緒に3人で写っている写真と、ゆり・根元陽菜・岡田茜・加藤明日香・内笑美莉と一緒に6人で写っている写真が入っていた。きーちゃんは写真を見ながら、智子にこんなに友人がいたのか・それとも急に出来たのか・この友人達に影響されて智子が変わったのかと思いを巡らせながら、智子がラップと言い出したのは吉田さんの影響なのかと推測し、6人組の写真の方にも2名程気になる人物がいる様子だった。
そして、きーちゃんは突然「私もお姉ちゃんの学校見に行きたい」と言い出した。「いや行ってもつまらんし…」と返事する智子だったがきーちゃんは意に介さず、智子が通っている学校だからそんなことはないし、自分も通うかもしれないと口にした。その瞬間、きーちゃんが黒木家に下宿して寝食を共にする様子を妄想して「地獄」だと感じた智子は、本当にやめたほうがいい・わざわざ遠くから通うほどの学校じゃないと言い、きーちゃんの原宿教育学園幕張秀英高等学校への進学を阻止しようとするが、きーちゃんは一年間だけでも智子と一緒に通えたら絶対受験していたと答えたことで自分が一年早く生まれたことに安堵する。しかし、それはできないからせめて智子と一緒に校内を歩きたいとうつむき加減で話すきーちゃんを目の当たりにした智子は見学くらいならまあいいか、という気持ちになり、サイコきーちゃんのサイコ化が止まるかもしれないと考えていた…。
高校見学
原幕に到着した智子ときーちゃん。きーちゃんは早速きれいな学校だと感想を述べるが、智子は万が一きーちゃんが原幕に入学しない様にネガティブキャンペーンをしようという意図があったため、そんなことはなくて犬のフンが落ちているから美化がなってない証拠だと返した。そこに、見学の申し込みをした方がいいと言うきーちゃんと智子のやりとりに気付いた担任の荻野先生が智子に「黒木 何してるの?」と話しかけてきた。内心「げっ!!?」となった智子はしどろもどろになりながらも、いとこ(きーちゃん)が学校見学をしたいからと説明する。互いに自己紹介を交わしたきーちゃんと荻野先生の会話が続きそうな様子を目の当たりにした智子は内心、「2大私のストレスの元」が揃ったことで私のネガティヴな話題はやめろと願っていたが、荻野先生は智子にウインクすると、智子がきーちゃんにとって自慢のお姉ちゃんであると同様、自分の自慢の生徒であり、いつも沢山の友人に囲まれてクラスのムードメーカーだときーちゃんに説明した。瞳孔が収縮した瞳で「へー」と答えるきーちゃんの傍らで、智子は気を遣えない奴に限って気遣いアピールしやがると内心で怒りを露わにしていた。
表面上
智子ときーちゃんが校内を歩いていると、部活で学校に来ていた伊藤光と出会った。休みなのに学校にいる智子を不思議に思った伊藤さんは「何してるの?」と尋ねるが、智子がいとこと学校見学に…と返すと、伊藤さんはサッカーの応援のために小宮山琴美も来ていることを智子に伝えた。智子が内心「全くいらない情報だ……」と思ったことで2人とも沈黙してしまうが、そんな場の空気を一変させたのはきーちゃんだった。伊藤さんが吹奏楽部であることに気付いたきーちゃんが、自分も中学では吹奏楽部に入部しているということから吹奏楽の話題に花が咲く2人を見ながら智子は、きーちゃんが本性を隠してのコミュニケーション力が高いことで、やはりサイコパス感を感じるのであった。
同種
サッカー部が試合開始した頃、智貴の応援のために学校を訪れていた井口朱里の隣では、真剣な表情の小宮山さんが独特の構え方からスマートフォンで智貴を撮っていた。すかさず背後からツッコミを入れる智子に驚く小宮山さん。いとこと学校に来たことを説明する智子と自己紹介するきーちゃんに再度驚いた小宮山さんは、いとこのメスは初耳かつ家族以外で合法的に智貴に近づけるブタじゃないかときーちゃんのことを内心で罵っていた。きーちゃんもまた、小宮山さんは遠足写真には写っていないが多分智子の友人か親友な気がすると内心で思うのであった。
苦手
小宮山さんや井口さんなど、試合の応援のために集まった生徒達からの声援を耳にした中村くんは、智貴に「自分の学校だと声援あっていいな」と話しかけるが、智貴は応援でプレーに影響は出ないが、今までで一番アウェイ感があるのは気のせいかと感じていた。そして、応援の輪の中には智子・きーちゃん・小宮山さん・井口さんの姿が…。
登場人物
黒木智子 里崎希心 黒木智貴(本編中の回想及び「苦手」) 荻野先生(「高校見学」) 伊藤光(「表面上」) 小宮山琴美(「同種」「苦手」) 井口朱里(同左) 中村くん(「苦手」) 田村ゆり(以下、写真のみ) 吉田茉咲 根元陽菜 岡田茜 加藤明日香 内笑美莉
名言
……今日は長い一日になりそうだ(黒木智子)
お姉ちゃんこんなに友達いたんだ それとも急に出来たのかな? この人達と関わってお姉ちゃんは変わったのかな? それとも……(里崎希心)
地獄(黒木智子)
オイ!!いとこのメスなんて初耳だぞ!!(小宮山琴美)
今までで一番アウェイ感あるのは気のせいか…?(黒木智貴)
補足
あらすじの項目で前述したが、本話はきーちゃんが黒木家を訪れて智子と原幕見学へ向かうまでを描いた本編から、原幕見学中の様子を描いた4編の短編へと移行する変則的な構成のエピソードとなっている。
本話にてきーちゃんの苗字が「里崎」であることでフルネームが確定し、中学では吹奏楽部に所属しティンパニ(ー)を担当していることが明らかとなった。
きーちゃんが智子に見せようとしていたアニメの元ネタは、智子のセリフで登場人物が呼称されていたことから『けものフレンズ』(テレビ東京系)だと思われる。2話までの台詞が確認できる。また、智貴と一緒に観ていた裏番組の元ネタは、同じく智子のセリフから伏字ながらも出演者1)が呼称されていたことから『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日・関東ローカル2)番組)と思われる。余談だが、元ネタと思われるこの2番組は同曜日に放送され放送時間もほぼ同時刻であったが、智子達が観ていた裏番組が前述通り関東ローカルのため、その条件に該当するのは関東地方のみとなる。
遠足の写真は「to クロへ from ねも」と描かれていることから、ネモから送られたことがわかる。「クロ」「ねも」という言葉が文字で登場するのはこれが初である。
劇中の犬の糞については次話を参照。
1年生時(喪94)は背番号19だった智貴が背番号9となり、サッカー部のレギュラー(FW)となったことが確認できる。また、中村くんがサッカー部に所属していることもはじめて描かれた。背番号は11。
ガンガンONLINEに連載されている漫画は本来なら最終ページに「9/20→次回に続く」と次回更新日が記載されており、本作品も例外ではないが、なぜか本話では省略されている。
研究ノート
遠足の集合写真について
遠足の集合写真は加藤さんの付けている耳から考えると、帰りの点呼時(喪130(上))か花火の後(喪130(下))でしか撮影できないと思われるが、前者の場合はゆりの離脱前に岡田さんとうっちーが合流して撮影するタイミングがあったのかが疑問であり、後者の場合は吉田さんが写っていないことと、うっちーが友人グループのところに戻った後、写真撮影時にまた合流してきたことになることが疑問である。加藤さんの手がフレームアウトしていることから、撮影者は加藤さんと思われる。喪152のかよの台詞から、うっちーは劇中で描かれている回数以上に友人グループから離脱していた可能性がある。
きーちゃんの制服について
きーちゃんが自分の中学校の制服を持ってきていた理由であるが、劇中の台詞にあるとおり、智子と同じ学校に通う代わりに、智子と一緒に学校の中を歩きたいため、最初から学校見学をするつもりで持ってきていたものと思われる。そうではなく、自宅へ取りに戻っていた場合、本喪話の後半は5月2日(木)以降の話である可能性が出てくる。
GW中に学校が休みであることについて
通常、ゴールデンウィーク中でも学校はカレンダー通りに登校するものであるが、荻野先生によればこの5月1日はGWのため休みであるとのことである。そのことから前日の4月30日(喪140)および翌日の5月2日も休みである可能性が高い。原幕は私立高校であるからであろうか。なお、きーちゃんの学校が休みであるかは不明であるが、親の許可を得なければ智子の家には来ることが出来ないと思われるため、おそらく休みであるのだろう。きーちゃんの中学が私立である、創立記念日などで学校が休みである、きーちゃんの住む自治体などでゴールデンウィークの学校は長期休暇に充てられているなどが考えられる。