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喪210_中編

文書の過去の版を表示しています。


喪210(中編)

モテないし文化祭準備(中編)

基本情報

収録巻
英題
ページ数 11

あらすじ

前話に引き続き、蛍輝祭の準備の様子を描いた短編回

焼かれる

田村ゆりは、珍しく田中真子がひとりでいることに気付く。真子から空いている席を勧められたり、食事に行った際に注文するメニューを尋ねてくれたり、と自分に対して度々世話を焼いてくれていた1年次のことを思い浮かべながら「いつも真子に世話を焼かれてきたけど 今日は私から焼きにいける」と決意したゆりは、(真子がひとりでいるこのチャンスを逃さないよう)真子に声を掛け、一緒に蛍輝祭の飾り付けをやろうと誘った。

ところが、スマートフォンでSNS(らしきもの)を眺めている真子は、視線をスマホに向けたままゆりからの誘いを断ってしまう。それでも表情を変えずに目の前に居座り続けるゆりに驚いた様子の真子は「ごめん一緒にやろうか」とゆりに謝り、ゆりも了承したことで根元陽菜黒木智子と一緒に四人で飾り付けをやることになった。真子はゆりに「はい ゆりこれ使って」と油性マジックを手渡すが、油性マジックのキャップを開けながら何かに気付いたようなゆりは、キリッとした表情で真子に「さすが真子 汚い」と言い放ち、真子は不思議そうに「何が?」と尋ねるのであった。

登場人物

智子は根元さんと一緒に、二木四季のスマートフォンから再生している撮影動画をチェックしていた。スマホの画面にはバッターの楠夏帆とキャッチャーのゆり、そして審判の伊藤光が映し出されている。智子は、二木さんから編集したらおそらく15分ほどの尺しかないと告げられたことに驚くあまり「えっ!?」と口にしてしまう。撮影の撮り高が体感では30分以上あると思っており、ラストをもう少し撮ってオールアップを迎える予定の青写真を描いていた智子は、編集後の上映時間が最低でも流さないといけない30分にすら達していない事実に焦り出すが、二木さんは平然とした様子で「意外とそんなもん」と返した。そして根元さんからも、体育館での上映時間が一時間を予定しており、岡田茜たちが参加している清田班映画の上映時間が15分くらいだという情報がもたらされた。蛍輝祭がはじまるまで、あと5日しかない…!

場面が変わり、再び撮影動画…「今日帰りどこ寄ってく?」と尋ねる小宮山琴美。教室内で、根元さん・小宮山さん・ゆり(田中まり)・加藤明日香(加藤智香)の四名が向かい合わせに座っている様子が映し出される。おもむろに立ち上がると窓のところへ向かうゆり。何かを考えている様子の根元さん。ゆりが窓を開けたことで教室内に入ってきた風のいたずらでカーテンが舞う中、振り返ったゆりは「ラーメン」とだけ伝えた。グラウンドのネットが映し出された後、ペットボトルのキャップを開けて飲み物を口にする加藤さん。三人の方を向いているゆりと沈黙した状態が続く三人。そして、どことなく怪しげな笑顔で「私はカツ丼がいい」と返事する加藤さん。

この時、智子と一緒に画像をチェックしていた小宮山さんからツッコミが入った。智子はテンポが良すぎたので「間」を使っていこうかな…と説明するが、小宮山さんからは「絶対間を使うシーンじゃねーだろ」と更にツッコまれてしまうのだった…。

登場人物

お祭りさわぎ

智子と根元さんと一緒に撮影動画を観ていた二木さんは、他クラスの生徒が結構いることに気付くが、そのことに対して智子は「まぁ別にそこは祭りだし自由にやっていこうかなって」と説明したことで、何かを感じたような表情をしていた。そして二木さんは、自分たちの代わりのカメラマン要員として柿沼くん廣畑くん南小陽美馬サチの四名を紹介する。「自分たちの代わり」とはどういうことなのか尋ねた岡田さんに、二木さんは前回の撮影時に差し入れのカヌレが原因で多数の生徒がリタイア(欠席)したことで人員が不足したので、自分たちがキャスト側に回る必要があると理由を説明し、更にお手伝い要員として杏奈麗奈の二名も紹介した。紹介された生徒たちは二木さんの人脈(主に交友仲間)によるものだったのだ。そんな中、岡田さんは他クラスの生徒が参加することについて疑問を呈したが、鈴木くんが「緊急だしよくね?」「和田が女役やってる状況だし」ととりなすように言ったことと、清田くんも廣畑くんと柿沼くんをフォローしたこと(「研究ノート」の項目を参照)により撮影を再開することになった。そして岡田監督は、何をすればいいのか確認してきた杏奈さんにシーンの絵コンテを見せ、細かいことは二木さんに聞けてくれればいいからと説明した。

清田監督の「こっちスタンバイOK--!!」という号令により、撮影が再開された。傍らにはカメラの代わりにタブレット端末を構えている廣畑くんの姿も見られる。撮影が残っていたのは、「下校途中に校舎から飛んできたボールをリフティングして校舎に戻す」という、計二日間で86回もNGを出してしまったくらい難易度の高いシーンだったが、鈴木くん→和田くん→鈴木くん→二木さん→杏奈さん→麗奈さん→1)の連携プレイによって、見事一発で成功した。一発撮りできたことで、喜びで沸く塀の向こう側にいるメンバー。

その一方、スマートフォンで撮影中の南さんの隣で何もしていなかったサチは、「小陽ちゃん 何くだらないの参加してんの?」と南さんに言うが、南さんは二木さんに頼まれたからしょうがないと返した。そしてサチは、撮影動画をチェックしている柿沼くんと廣畑くんに目を向けながら「ていうかあいつら小陽ちゃんと同じ扱いじゃない?ウケる」と言うばかりか、キモいから撮った動画でシコって(自慰行為)そうじゃないかとまで言い放った。南さんはサチの言葉の意味がわからない様子だったが、とりあえず同意した。

撮影がオールアップしたことで、乾杯する参加メンバー一同。清田くんは一安心した様子を見せ、岡田さんから助っ人として来てくれたことについて感謝の気持ちを伝えられた南さんは、戸惑いつつも返事していた。岡田さんが続けて他クラスのサチにも感謝の言葉を述べていた時に何かを考えている様子だった南さんは、「えーと……シコるって何?」と唐突に質問し始め、すかさず反応するサチ。岡田さんは「四股?」と返すが、麗奈さんは「セ●ズリかー」と返し、なおも意味がわからない様子だった南さんに「オ●ニーだ」と説明した。意味がわかった様子の岡田さんが真っ白状態になる中、「シコる」が違う言い回しだったことを理解し真っ赤になった南さんは、「わ 私じゃなくてサチがねオタク達が撮った動画でシコるって」と先程サチと行った会話の内容をばらしてしまう。サチは表面ではしらじらしく誤魔化そうとしたが、内心では南さんに対して怒りの感情が渦巻いていた。

すると「するわけねーーだろ!!」と大声で反論する声が聞こえてきた。声の主は揶揄の対象にされた柿沼くんで、そのことをからかった麗奈さんに対しても必死に反論していた。もうひとりの対象である廣畑くんは、杏奈さんも面白がって「案外こっちじゃねー」と女装している和田くんを指し、「えー まぁいいけど」と笑顔で返事する和田くんにすかさずツッコミを入れる清田くんのやりとりを大汗をかきながら無言で眺めていた。柿沼くんは「お前が変なこと言うから!!」とサチを責めるが、内心では柿沼くんのことを見下しながらも無視を決め込み、無視すんなよと言われてもいっさい反応しなかった…。そして、一連のやりとりを見ていた二木さんが「クスクス」と声に出しながら笑い出した。その様子を目の当たりにした岡田さんと南さんは二人揃って驚くが、普段から二木さんと遊んでいる杏奈さんは笑顔で「なんで驚いてんだよ」とツッコんでいた。

登場人物

登場人物

※上記「あらすじ」の項目を参照。

名言

「今日は私から焼きにいける」(田村ゆり)

「実質3-5でOKだろ」(清田良典)

「南ありがとうな手伝ってくれて」「美馬もクラス違うのにありがとう」(以上、岡田茜)

「四股?」(同上)

「するわけねーーだろ!!」(柿沼くん)

補足

「焼かれる」にて、ゆりの1年次の回想で真子・ゆり・ツインテールの女子・ショートカットの女子が一緒にいるシーンが描かれているが、後者二名(後ろ姿での登場)が友人関係なのかどうかは不明。

「お祭りさわぎ」では蛍輝祭の設営途中の様子を描いたコマがあるが、横向きに置かれている看板には催し物と思われる「有志バンド」(クラス・部活不明)「台湾カステラ」(1年3組)と書かれていることが確認できる。

喪207三家さんが差し入れた手作りのお菓子については同話では言及されていなかったが(ただし、形状から判断可能だった)、「お祭りさわぎ」にて、二木さんのセリフから「カヌレ」であることが明言された。

「お祭りさわぎ」にて、これまで本サイトにて「柿沼友人1」2)と呼称されていた人物の名字が「廣畑」であることが判明した(ただし、名字の読み方および名前は明らかにされていない)。また、それに関連して清田くんが柿沼くんと廣畑くんのことを「かっきー」「はたやん」とそれぞれあだ名で呼んでいることも判明し、(特に廣畑くんに対しては喪150での描写もふまえて)清田くんのクラスメイトに対する人柄が感じられる。

「お祭りさわぎ」では、件のシーンに出演していた岡さんと男子生徒がリタイアしてしまったため(喪207)に和田くんが女装3)して岡さんの代役、鈴木くんが男子生徒の代役としてそれぞれ出演することになった。また、この時に和田くんが装着しているリボン付きのウイッグは、彼が1年次に蛍輝祭の催し物で女装して男の娘メイドになった時に装着していたものと酷似している(喪192(後編)「自嘲」 4) )。

研究ノート

外部リンク

1)
かっくんのコマをよく見てみると、かごを広げてボールが入りやすくしていることがわかる
2)
ファンの間では「デブ」「デブくん」と呼称されていた
3)
この時のコマには「和田」という注釈が入っている
4)
単行本20巻)では、前後編が一本のエピソードとしてまとめられ、喪192として収録
喪210_中編.1669178642.txt.gz · 最終更新: by syumote