目次
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! ミステリー小説アンソロジー
基本情報
キャッチコピー | モテないし、謎【ミステリー】を解く! |
著者 | 谷川ニコ・市川憂人・岡崎琢磨・坂上秋成・円居挽 |
原作・Illustration | 谷川ニコ |
監修 | スクウェア・エニックス |
発行所 | 星海社 |
発売元 | 講談社 |
レーベル名 | 星海社FICTIONS(紙書籍版) / 星海社e-FICTIONS(電子書籍版) |
発行日 | 2021年8月1日 |
発売日 | 2021年8月6日 |
ページ数 | 306(紙書籍版) / 271(電子書籍版) |
備考 | 電子書籍の情報はkindle版のもの |
概要
2019年11月に発売された『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 小説アンソロジー』(以下、前作)に続く本作品の二次創作小説アンソロジー本で、第二弾である今作のテーマはタイトルにもある通り「ミステリー」。今作も前作同様、本作品のファンである小説家4名と作者が小説を手掛けている。前作と同じく星海社(発行元)より紙書籍版と電子書籍版が販売・配信された1)。今作も表紙および「朝の目撃者」を除く各作品の挿絵2)は作者による描き下ろし。
収録作品
「朝の目撃者/昼休みの探偵」
アオリ文
“ドスケベ探偵黒木”誕生!?
著者(紹介文)
谷川ニコ(原作者がミステリーも書いてしまうのはどう考えても誰も悪くない!)
あらすじ
(「朝の目撃者」)夏休み明けより数日経った朝の登校時。海浜幕張駅の改札を抜けた黒木智子は田村ゆりを見かけ、一緒に登校することになった。そして、智子はゆりでも付いていけそうなミステリ小説についての話題をふるが、ゆりの発言にひとり対抗意識を燃やしてしまう。
(「昼休みの探偵」)「朝の目撃者」の続編。登校時にミステリ小説について語り合っていた智子とゆりは、お昼休みの昼食後に加わった根元陽菜と三人で再びミステリ小説について語り合うことになった。そして、根元さんが加わったことで会話の内容が徐々にとんでもない方向へと向かってしまうことになるのだが…。
挿絵
なし(「朝の目撃者」) / 冷めた表情で見つめるゆりと根元さん(「昼休みの探偵」)
「絵文字vs.絵文字Mk-Ⅱ」
アオリ文
着替え泥棒の手がかりは絵文字!?内笑美莉と二木四季の推理合戦!
著者(紹介文)
市川憂人(”最年長のルーキー”本領【オタクっぷり】発揮の犯人消失&ダイイングメッセージ!?)
あらすじ
夏休み中の原宿教育学園幕張秀英高等学校。その校舎裏では初芝くんが仰向けに倒れていたという異常事態が発生した。彼の左手側にはとある目的で学校を訪れていた内笑美莉、そして二木四季がおり、右手側にはうっちーと落ち合った宮崎さん、そして智子がいるという状況だったが、更に不可解なことに智子はとある恰好をしており、うっちーは彼女から着替えドロ呼ばわりされてしまう。いったい、彼らに何が起こったのだろうか?
挿絵
「踵の下の告白」
アオリ文
ゆうちゃんのイメチェンに隠された真実とは?
著者(紹介文)
岡崎琢磨(<日常の謎>派の魂を受け継ぐ実力派作家が放つ、成瀬優のビターな謎解き!!)
あらすじ
仲の良い友人と一緒に行きたかった原幕の受験に失敗してしまった成瀬優は、彼女とは別の高校3)へ進学することになった。ゆうちゃんは入学式に中学時代と同じスタイルである三つ編み・眼鏡をかけていくが、周囲と自分とのギャップに驚いてしまう。そして、入学2日目にひとつ前の席に座っている中村砂羽【さわ】という女子生徒から話しかけられたゆうちゃんは、彼女からとある提案をされるのだが…。
挿絵
うさぎのぬいぐるみを抱いている中学時代の成瀬優と、彼女の三つ編みを作ってあげている母親
「モテないし合コンに行く」
アオリ文
脱処女チャンスと乗り込んだ合コンでもこっち一大事!?
著者(紹介文)
坂上秋成(純文もエンタメも書きこなす”小説巧者”が繰り出すドタバタ合コン劇!!)
あらすじ
智子はお昼休みの教室で騒がしいクラスメイトの様子を眺めながら色々なことを考えていたが、隣の席の根元さんより合コンに誘われたことで頭がフリーズしてしまう。根元さんの話では、彼女の声優養成所仲間の男性が合コンを希望しており、何度も頼まれているうちに人数が集まれば、と返事してしまったらしい。根元さんの誘いを一般人から勝ち組になる大チャンスだと捉えた智子は、彼女にとある質問を行った。
挿絵
合コン会場である青山のダイニングバーにて男子組に自己紹介を行った際のワンシーン。腕組みをしながら余裕をみせている加藤明日香・笑顔の根元さん・無表情で飲み物を飲んでいるゆり・身体を強張らせながらミニスカートに手をやる智子
「モテないし一人になる」
アオリ文
このプロットをOKしたのは誰だあっ!谷川ニコワールドクロスオーバーミステリー!
著者(紹介文)
あらすじ
蛍輝祭の出し物である映画の脚本作りに集中したかった智子は友人たちと別れ、ひとりでネットカフェ「アクレシオ幕張店」へ向かう。そして智子は店内にてとある悪質なイタズラの被害者になりかかるが、その時に取った対処方法が原因となり大きな事態へと発展してしまう。智子は別室へ連れていかれるが、対応した店員が「いつかのやらかし」を覚えていたことからその場の状況を丁寧に説明したことで最悪の事態は免れたものの、4名の参考人のひとりとして扱われることになった。そして残り3名の参考人も姿を見せるが、いずれもクセのある一筋縄ではいかないような人物ばかりで…はたして、犯人はこの中にいるのだろうか?
挿絵
「アクレシオ幕張店」にてそれぞれの時間を過ごす智子・織川衣栞・叶圭佑・棗・水樹希美
登場人物
※本項目では、各作品の主人公格にあたる人物を記載する(カッコ内は登場した作品名)。
補足
今作の発行元と発売元が異なる点については前作のページを参照。
今作の執筆陣は前作同様5名だが、作者・円居挽氏の2名のみ続投し、残り3名は初参加となった。また、初参加者のひとりである市川優人氏は紹介文の通り今作執筆陣の最年長であり、紹介文に「ルーキー」と記載されているのはデビューした時期が小説家・推理作家4名の中で最も遅い2016年5)だったため。
作者は今作のあとがきにて、小説をやりたくないと思いつつも一度(前作)は書けた今回も書けるだろうという気持ちで引き受けたものの、テーマがミステリ縛りだったことから執筆に苦戦したようで、締切当日の時点でまだ完成していない状況だったというエピソードを吐露している。また、「小説を書くのは本当にこれが最後になります」とコメントしており、このことが関係しているからか次作以降の小説アンソロジー本は2024年の現在に至るまで発売されておらず、本作品の小説アンソロシリーズは事実上全二巻で完結した。
「踵の下の告白」の挿絵では中学時代のゆうちゃんと彼女の母親が描き下ろされているが、あくまでも同作品の内容に関する挿絵であり、原作ではゆうちゃんの家族は作中に登場しておらず、言及もされていない6)。ちなみに当該絵の母親の髪型は岡田茜に似ているが、目より上の部分は描かれていない。
「踵の下の告白」に登場する中村砂羽は、原作ではゆうちゃんと加藤さんの共通の友人として名前のみ言及されており(喪170)、名字は同作品のオリジナル要素として付与されている。
「モテないし合コンに行く」の終盤でとある登場人物が取った行動に対して、今作の感想では「当該人物の話は合わなかった」「狂気のようなおかしい行動」などの否定的な意見が相次いた。作中で理由付けはされており、いかにもその人物が考えそうな理由ではあるが…。
「モテないし一人になる」ではアオリ文で「谷川ニコワールドクロスオーバーミステリー!」とある通り、作者の別作品の登場人物も数名登場しており、智子と共にストーリーに関係する人物として描かれている。その登場人物と作品名は以下の通り。
登場人物 | 作品名(連載順) |
---|---|
水樹希美 | 『ライト姉妹 ~ヒキコモリの妹を小卒で小説家にする姉と無職の姉に小卒で小説家にされるヒキコモリの妹~ 』 |
織川衣栞 | 『クズとメガネと文学少女(偽)』 |
叶圭佑・棗 | 『海浜秀学院のシロイハル』 |