焼きいもが食べたかった中学生の話

みなさんは焼きいもと聞いて何を思い浮かべますか? 私は焼きいもと言えば「しずかちゃんの大好物」というワードが頭に浮かびます。

子供の頃は冬になると「い~しや~きいも~♪」の声とともに焼きいも屋のトラックが回って来ていましたが、この手の焼いもはとにかく値段が高く、そしてその価格に見合うほどおいしいという訳でもない。なので子供の頃の私はほとんど焼いもというのを食べた事がなく、実在の食べ物というより漫画の中の食べ物という感覚でした。

「いも焼いて食べようぜ」

中学の冬のある日、学校帰りに友達数人でたむろっていると誰かがふとこう言い出しました。彼が言うにはさつま芋を買って、それをたき火で焼いてみんなで食べようと言うのです。もしかしたらこの「彼」というのは私自身だったかも知れません。

そうです、焼いもをただ食べるのではなく、たき火で焼いて食べる、それこそが漫画の中の焼いもであり、その場にいた全員が瞬時に同じ感覚を共有し「ぜひやろう」という事になりました。

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