キャッチコピー | モテないし、小説になる! |
著者 | 谷川ニコ・辻真先・青崎有吾・相沢沙呼・円居挽 |
原作・Illustration | 谷川ニコ |
監修 | スクウェア・エニックス |
発行所 | 星海社 |
発売元 | 講談社 |
レーベル名 | 星海社FICTIONS(紙書籍) / 星海社e-FICTIONS(電子書籍) |
発行日 | 2019年11月15日(紙書籍) / 2020年8月1日(電子書籍) |
発売日 | 2019年11月18日(紙書籍) / 2020年8月31日(電子書籍) |
ページ数 | 208(紙書籍) / 185(電子書籍) |
備考 | 電子書籍の情報はkindle版のもの |
本作品のファンである小説家4名と作者が小説を手掛けた二次創作小説アンソロジーで、かつて作者の別作品である『クズとメガネと文学少女(偽)』を連載していた星海社より2019年11月18日に紙書籍が販売され(その経緯は後述)、その後電子書籍化1)された。発刊にあたり「作者自らが初めて小説を執筆すること」が大々的にアピールされている。表紙および「モテないし夏休みのとある一日」を除く各作品の挿絵2)は作者による描き下ろし。
もこっちが小宮山さんと『Fa●●●』映画鑑賞!?
谷川ニコ(原作者が小説を書いてしまうのはどう考えても誰も悪くない!)
なし
念願の小説家デビューを果たしたもこっちは……!?
辻真先(御年87のリビング・レジェンド作家が放つ奇想の粋【すい】に震撼せよ!!)
若い頃の夢がかなって小説家になった智子。そして締切を過ぎても原稿が完成していない彼女のところへ、担当編集者たちが入れ替わり立ち替わり原稿の催促にやってくるが…。
置きっぱなしになっているカラの弁当箱・カップ・眠気覚ましドリンクや脱いだトレーナーや書き損じで丸めた用紙で乱雑になった自室(学生時代からのぬいぐるみ2体もあり)にて、お菓子を口にしながら必死の形相でPCのキーを打っているラフな格好の智子。そして吹き出しの中には成瀬優・内笑美莉・小宮山琴美・吉田茉咲の表情が描かれている
親友・根元陽菜の“遠さ”に揺れる岡田茜の相談相手は!?
青崎有吾(“平成のエラリー・クイーン”の進撃は令和も止められない!!)
5限目のLHRでは清田良典の仕切りで球技大会の競技決めが行われていた。球技大会にいまいち乗り気ではなかった岡田茜は、意見を求めようとした根元陽菜がいつの間にか斜め前の席にいたことに気付く。その傍らには田村ゆり、そして智子がいた。
加藤明日香という存在と出会う「幸運」について、かつての地味少女・夏帆は何を思う!?
相沢沙呼(青春ミステリーの奇術師【マジシャン】が浮き彫りにするのはあの加藤明日香!!)
2年生のある日。成田美保・加藤さんと廊下で立ち話をしていた楠夏帆は、ふとしたことから中庭にとあるクラスメイトがいたのを見かけ、なんとなく目で追ってしまう。そして、過去の自分を変えてくれた友人との出会いを振り返っていた…。
佐々木風夏と会話している加藤さん。そして眼鏡を掛けた夏帆さんが浮かぬ表情で加藤さんの楽しそうな笑顔を見つめている様子
『●気の子』ファン驚愕のゆりもこミステリー!
荻野先生に呼び出された智子。荻野先生はスケッチブックをめくると、幕張本郷のラブホテルらしき建物と少女が描かれていた一枚のページを智子に見せた。その少女は特徴からゆりとしか思えない中、智子は荻野先生からとある質問をされることに…。
※本項目では、各作品の主人公格にあたる人物を記載する(カッコ内は登場した作品名)。
本小説アンソロジーの紙書籍版は星海社の小説レーベルである「星海社FICTIONS」として刊行されたが、発行所と発売元が2社に分かれているのは星海社が講談社の子会社であり、企画・発行までは子会社が担当するがそれ以降の発売については親会社へ業務委託しているためである。
本小説アンソロジーを企画したのは作者の別作品である『クズとメガネと文学少女(偽)』の担当であった太田克史氏(現:星海社代表取締役社長)で、作者は『クズメガ』終了後、太田氏と会った際(作者曰く「打ち合わせ的なこと」)に星海社でこの企画をやりたいから小説を書いてほしいと依頼されたそうで、何を言ってるんだと思いつつもスクウェア・エニックスが許可を出さないだろうという気持ちでOKを出した所、なんとスクエニから許可が下りたので出すことになったというエピソードがある(あとがきより)。
表紙で智子が左手で抱えている本は、表紙が「講談社BOX4)」仕様の本小説アンソロジーである。原作担当が作画担当に智子に本を持たせておけばいいとアドバイスした際、仕事場にあった本が講談社BOXだったことがその理由だが、原作担当はわかりずらいから星海社の本にすればよかったと途中で思ったものの、時間がなかったために修正を断念している(あとがきより)。なお、前述通り講談社は星海社の親会社であったためか特に問題にはならなかった模様で、修正されることなく発売されている。
本小説アンソロジーの冒頭で、収録作品に登場した施設(実在・架空共)が記載された原宿教育学園幕張秀英高等学校の周辺図(マップ)が掲載されており、施設の位置がマップ化されて公開されるのはおそらく初だと思われる。ただし、架空の学校および店舗の位置に関しては「星海社編集部が本作品の作中描写から推測的に示したものである」という旨の注意書きが記載されており、公式設定ではないことに留意する必要がある。
「私がウレないのはどう考えても読者が悪い!」を執筆した辻真先氏は、本小説アンソロジー発売当時の満年齢が87歳(1932年3月23日生まれ)と参加作家陣の中では最年長であったことから当時は話題となった。氏は1954年より脚本家の活動を行っており(後に小説家としてもデビュー)、テレビアニメの脚本も1960年代から数多くの作品を手がけている大ベテランの作家である。氏が高齢となった近年においても、本作品を含むライトノベル・まんが・テレビアニメなどの多くの作品を愛好し感想も発信するなど精力的に活動しており、2017年8月13日に開催されたコミックマーケットC92(3日目)では売り子として参加したこともあった。
「モテないしラブホに行く」の登場人物より言及され、エピソードの本筋にも関わってくる長編劇場アニメ映画『電気の子』の元ネタは、2019年に上映された長編劇場アニメ映画の『天気の子』だと思われる。また、『電気-』の監督は満海四股人【まんかい・しこと】なる人物であることも作中で語られているが、こちらについても『天気-』の監督・脚本を務めた新海誠【しんかい・まこと】氏が元ネタだと思われる。余談だが『天気-』のヒロインの名前は根元さんと同じ「陽菜【ひな】」である。
前述通り作者自身が小説を執筆した「モテないし夏休みのとある一日」は、後に作者自身によるコミカライズが行われており、同話の内容を一部変更した上で2024年8月29日にガンガンONLINEで公開された夏休み特別編2(仮)としてまんが化された。また、同話は本アンソロジー掲載作品中唯一挿絵が省略された作品だったのでまんが化されたことに伴い、事実上挿絵が追加される形となった。
上記に関連して、前述通り「モテないしラブホへ行く」のみ挿絵が2枚挿入されており、あとがきには「作画と原作がアンソロジー制作に奮闘する絵」というタイトルの挿絵が挿入されている。
今作が好評だったからか、2021年8月に小説アンソロ本の第二弾となる『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! ミステリー小説アンソロジー』が発行され、今作と同様に作者を含む5名の作家が「ミステリー」をテーマとしたオリジナルエピソードを執筆している。詳細は当該ページを参照。