目次

喪144

モテないし名前を呼び合う

基本情報

収録巻 15巻
英題 I'm not popular, so We'll call each other by name.
ページ数 15

あらすじ

ゴールデンウィーク(GW)明けの日の朝。JR海浜幕張駅北口の改札を出た登校途中の田村ゆりは、偶然にも内笑美莉と出会う。挨拶を交わした後にうっちーからGW中は何をしていたのかと尋ねられたゆりが「……とも…黒木さんと一緒に…(いた)」と答えようとした時、うっちーがコンビニから出たばかりの黒木智子に気付いた。うっちーは挨拶をしながら素早く智子に近付くと積極的に話しかけていたが、ゆりも智子に挨拶した後に「と… とも…」と名前で呼ぼうとしたものの、うっちーの呼びかけに遮られて智子には届かず、そのまま無言で二人の会話を聞きながら登校していた。

朝の教室。智子は挨拶してきた根元陽菜と会話していた。GWの過ごし方→根元さんが先日(喪139)購入したエロゲネタと話題が変化していく中、ゆりは智子に話しかけようとして自分の席から左斜め後ろの席にいる智子の様子を窺っていたが、あいにく智子と根元さんの会話が続いていたために自分が立ち入る隙がないことに気付くと、焦らなくてもいいかと思いながら挨拶してきた田中真子に挨拶を返した。その後、漫画雑誌を読んでいる智子に話しかけようとした瞬間、一学期学級委員長の清田良典が席替えのくじ引きをするために名前を書いてほしいと智子に頼んできた。その後智子の前席の加藤明日香が智子とくじについてのやりとりを始めるとゆりは自分から話しかけるのを諦め、イヤフォンを耳に装着していた。

そして行われた席替えの結果、ゆりと智子は席が離れ離れになってしまう。ゆりの左隣の席になった根元さんは、智子・真子・吉田茉咲と離れてしまって悲しい?と笑顔でゆりに尋ねてくるが、ゆりは根元さんの方を向かず、素っ気ない態度で返事を返していた。一方、智子の右斜め前の席になった清田くんは「ここ(自分の周り)! 1-10のメンバー揃ってね? 」と智子・和田くん岡さんに笑顔で話しかけてきたが、智子は一年次の時もこんな光景があったことを思い出すと、当時は地獄だったが今は居心地こそそこまでよくないものの耐えられる…と内心考えていた。その傍で清田くんが智子が漫画雑誌を読んでいたことを和田くんに話したところ、和田くんはニコニコしながら智子に漫画雑誌の話題を振ってきた。驚いた智子だったが、ぎこちない口調ながらも和田くんと言葉を交わしていた。チャイムが鳴ると同時に立ち上がったゆりは和田くんと会話中の智子に気付き、その様子を無言で眺めていると真子が声をかけてきたが、突然南小陽が大声で「まこっち〜!」と呼びながら真子の元へ駆け寄ってきた。南さんは新しい席がつまらない、隣(小宮山琴美二木四季)が全然話したことがない相手だし陰キャっぽいから、といたく不満な様子で、真子はそんな彼女をなだめるはめになってしまう。再び智子の方に目をやるゆりだが、そこにはいつのまにか姿を現したうっちーが智子に話しかけていた…。

昼休み。智子とゆりと真子が昼食を摂ろうとした時、根元さんの呼びかける声が聴こえてきた。根元さんは岡田茜・加藤さんとの三人グループで、智子たちと合流してもよいかどうか尋ねてきたのだ。それから六人グループで昼食を摂り始めると、根元さんが智子に和田くんと会話していたことについて尋ねてきた。智子は返事しつつ内心で、弟を除く男子と5分以上会話したのは初めてかつ今日だけで過去5年間くらいの男子との総会話時間を軽く超えたなと思い、和田くんについては「見た目ショタ1)で漫画の話だったら普通に話せたな…」という印象を抱いていた。そこからショタとの相性について妄想し始めた智子はその流れで加藤さんをチラ見してしまう。智子に気付いた加藤さんが何?と尋ねてくると智子は、先日(喪140)行った青山学園大学の見学がよかったねと慌てて誤魔化した。ところが根元さんから青学を気に入ったことが意外だと言われた智子が「ネモも受けてみたら…」と返した時、ずっと隣で会話を聴いていたゆりは深呼吸した後、「……と 智子は……千葉西受けないの?」と智子を名前で呼びながら、自分と見学に行った大学のことを尋ねてきた。智子は千葉西受験に消極的な理由を色々と付けながら小声で「ゆ…ゆり……」とゆりのことも名前で呼ぼうとしたが、結局「田村さんも私立受けてみたら?結構いいよ」と名字呼びで返してしまった。驚いたゆりが憮然とした表情で「受けない」と返事したことで場の雰囲気が変わってしまい、どこか申し訳なさげな表情で「そ…そう」と返事する智子だった…。

放課後。心配そうな表情の根元さんをよそに、ゆりは一人でさっさと教室を出て行ってしまった。根元さんは智子の元に向かうと、ゆりが先に帰ったことと、智子のせいで怒ってしまったようだと伝え、「今から追いかければまだ間に合うから行ってきなよ」とゆりを追うように促したが、智子がギャグで返したために赤面し、再度強い口調で追うように促した。智子は誰かを追いかけるのは青春ぽくてテンション上がるなと思いつつゆりの元へ急いだが、下駄箱前で靴を履きかえていたゆりに意外と早く追いつくことができた。目の前に現れ、ゆりちゃん一緒に帰ろうと言ってきた智子に驚くゆり。二人で下校中、おそるおそる謝ってきた智子に「何が?」と尋ねるゆり。千葉西から別の大学に変更したことについて怒っていたと思っていた智子がゆりに否定されると理由を尋ねるが、ゆりは黙り込んだ後に言いたくないと返した。本当の理由は、大学見学に行った日(喪137)の別れ際に智子が名前で呼んでくれたから自分も勇気を出して名前で呼んだのに、智子から名字で返されてしまったからだったが、それを言いたくなかったのだ。言いたくないと言われた智子はナプキンとタンポンどっち派?と尋ね、続けて「(怒っている原因は)生理でしょ」と告げた瞬間、ゆりから肩に鉄槌打ちを食らってしまう。心の中で「陰キャのくせにヤンキー並に手を出しやがる…!!」と悪態を付く智子にゆりは「…と…智子がバカだからもういいよ」と返しながら、ようやく笑顔を見せた。バカ呼ばわりされて納得がいかない様子の智子は、急に智子とか言ってきて恥ずかしいと昼休みの出来事を持ち出してくるが、ゆりは「恥ずかしくないよ」とあっさり否定し、逆に智子と根元さんがネモクロと呼び合うやりとりの方が恥ずかしいと反撃するのだった。

登場人物

黒木智子 田村ゆり 内笑美莉 根元陽菜 田中真子 清田良典 加藤明日香 荻野先生(言及のみ) 和田くん 岡さん 岡田茜 南小陽 二木四季 小宮山琴美 吉田茉咲 鈴木くん(名前のみ)

名言

まぁ絵とか台詞とか少し気持ち悪かったけど大したことなかったね(根元陽菜)

ヘ――――― そういう罠しかけてくるんだ― ふ―ん(根元陽菜)

岡さんと和田と俺と黒木さんでしょ まぁ俺と黒木さんはずっと一緒だけど(清田良典)2)

ワンピース?(内笑美莉)

今日だけでここ5年くらいの男との総会話時間軽く超えたな 弟のぞいて(黒木智子)

……と 智子は……千葉西受けないの?(田村ゆり)

今から追いかければ間に合うから行ってきなよ(根元陽菜)

なんか漫画とかドラマっぽい台詞だけどチャンスだから言いたかったの?(黒木智子)

!(田村ゆり)

ゆ ゆりちゃんナプキンとタンポンどっち派?(黒木智子)

…と…智子がバカだからもういいよ(田村ゆり)

! 恥ずかしくないよ いつもの根元さんとのやり取りのほうが恥ずかしいでしょ ネモクロっての(田村ゆり)

補足

海浜幕張駅の北口で出会ったゆりと内は喪117でも電車内で話した。喪164で「電車が一緒」と判明するが、この時点で推測はできる。

智子が買った漫画雑誌は誌名とうっちーの「ワンピース」という発言から週刊少年ジャンプと察せられる。

本話で初登場時(喪23)に心理テストを出題していた1年10組の女子生徒の名字が岡【おか】であると判明した。また、和田くんも1年10組と判明したことから喪4で初登場した男子生徒の可能性が高くなった。

清田くんの振り仮名が【きよだ】となっており、単行本でも修正されていない。一方、和田くんが「和田さん」となっていた箇所は修正されている3)

智子はこれまでゆりから肘打ち(喪130(上))しか受けてなかったが、はじめて鉄槌(喪124)を受けている。

研究ノート

5組生徒は総勢33人と推定されるが、本話のくじ番号(特にゆりの24)4)と席替え後の座席表から、席替えとあわせて以前の6列から5列へと配席編成が変わったかとも考えられたが5)、後に喪159での描写から6列のままと確認された。席替え後の推定座席表は以下の通り。

教卓
29 28 18 13鈴木 7和田 1清田
30 27 19 14加藤 8智子 2
31 26三家 20 15岡田 9吉田 3田中
32小宮山 25 21二木 16 10 4
33根元 24田村 22森 17 11 5
23原 12 6
数字はくじ番号。

但し、この表だとゆりの列(24~28)の違和感が半端ないので、くじ番号18~33は確定とは言えない。なお、ゆりの性格からはちょっと考えにくいが何らかの事情でゆりがくじ番号28の生徒と席を交換した可能性もあり、それだとすっきりしないでもない6)

本話時点で座席が不明な登場人物は伊藤光初芝くん三家さん7)廣畑くん小宮山クラスメイト(5組生徒かどうかも未確定)。また、席替え後の座席表でゆりの隣に「森」らしき文字が、その後ろ(ゆりの斜め後ろ)に「原」らしき文字が見える。本作登場人物の名字は千葉ロッテマリーンズの選手やスタッフに因んでいるため、本話が公開時(平成30年10月18日)直近のデータに基づいているとすると、この二人の名字は原嵩に因む「原【はら】」と、森遼大朗に因む「森【もり】」であると考えられるので、上記座席表で原・森とした。なおもしこの仮定が正しければ、女子生徒に「原」も「森」もいないのでこの二人は男子ということになる。

最後のコマは喪26の扉絵の背景でもある千葉市 若葉緑道(渋幕・昭和秀英と神田外語大学の間の通り道)であろう。(喪137の研究ノートを参照)

外部リンク


喪143 特別編8

1)
少年のこと
2)
「和田」の箇所、初出時(平成30年10月18日)は「和田さん」となっていた。単行本収録に際し修正された模様
3)
こちらについては作者のTwitterでも言及された。
4)
ゆり以外では、田中真子が3、和田くんが7、智子が8、加藤明日香が14とある
5)
例えば
教卓
25 19 13鈴木 7和田 1清田
26 20 14加藤 8智子 2岡
27 21 15岡田 9吉田 3田中
28 22三家 16 10 4
29小宮山 23南 17二木 11 5
30根元 24田村 18森 12 6
33原 32 31
といった配席
6)
その場合は
教卓
29 24 18 13鈴木 7和田 1清田
30 25 19 14加藤 8智子 2岡
31 26三家 20 15岡田 9吉田 3田中
32小宮山 27南 21二木 16 10 4
33根元 28田村 22森 17 11 5
23原 12 6
となる
7)
後に喪145で判明