体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その13

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その12 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

案内嬢「私の不手際については謝罪するわ。仕方なかったとは言え、あなたを危険な目に合わせてしまってごめんなさい。」

俺「危険どころの話じゃない。ここ数時間、車椅子に乗った変態共に追いかけ回されてたんだぞ。」

案内嬢は真剣な顔つきなる。

案内嬢「それじゃあ彼らはもうすでにあなたの命も狙っているのね… 私が考えていたよりも事態は進んでいるみたい。」

友人「”もうすでに”ってどういう意味? あなたは智貴くんの危険を知りながら何もしなかった訳じゃないって言いたいの?」

案内嬢「複雑な事情があるのよ…」

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その12

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その11 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

 映画館までは特に何事も起こらず無事にたどり着く事ができた。遠くの方でサイレンの音が鳴り響いていたけれど。俺は友人がメイド服だなんて言うやたらと目立つ衣装を選ばないでくれれば良かったのにと再び思った。警察は間違いなく俺達を追っている事だろう。

映画館そのものは小さいが、ロビーは広く照明も明るかった。俺はこっそりと中へ入ると、車椅子の男や警察官が待ち構えていないか辺りを見回す。幸い普通の客しかいないようだ。友人と部長は俺の後をついてくる。俺達は売店を通り過ぎると、そのまま劇場入り口の廊下へと向かう。案内嬢はいつも大抵そこでもぎりと案内の仕事をしている。そして予想通り…彼女はそこに居た。

案内嬢の姿を見た瞬間、俺は恐怖を覚えた。もしもの時はどうやって攻撃したら良いだろう? 先手必勝でいくか、それとも慎重にいくか… だがそんな心配は案内嬢の声でかき消された。

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その11

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その10 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

 もし部長にこれ以上の協力を求めるなら、俺達は彼女を信頼して全てを話さなければならないだろう。俺の隣の友人は不安そうな顔をしていたが、俺は慎重に俺達二人に今日起こった出来事を全て話した。姉が帰宅した所から始めて、その姉がいなくなってしまった事や、俺達が暗殺者を三人殺した事やブティックで強盗をした事まで話した。

俺が話を終えると部長は、

部長「わかった。」

とだけ言ってモニターの方向へと顔を戻す。

俺「それで… これからどうすれば良いと思う?」

俺は自分自身と部長の両方に尋ねる。

部長「車椅子の暗殺者なんて聞いた事がない。少し調べてみるからちょっと待ってて。」

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その10

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その9 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

 俺達はコンピュータ研の部長の家へと向かう事にした。降り続く雨にも関わらず何人かの歩行者とすれ違い、メイド服の友人の事をじろじろと見られるが、血まみれの殺人者の格好のまま歩き回るよりはマシと思うことにした。とにかく先ほど心配していた様な意味では誰からも怪しまれずに行動する事ができた。

部長の家は繁華街から2キロほど離れた閑静な場所に立っている。今回も階段を使って部長の部屋へと向かうとドアをノックした。ドアの向こうから部屋の住人がゆっくりと自分の定位置から離れてドアの方へと移動している音が聞こえる。コンピュータ研の部長は人間よりも機械が好きという変わり者で、ムカつくくらいに金持ちの両親にお金を出してもらってここで一人で住んでいた。

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その9

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その8 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

俺「いや、階段を使った方が安全だ。」

友人は不満気な顔をしながらも文句を言わずに俺の後をついてくる。蛍光灯の明かりに照らされた俺達の服には今さっき殺した男達の返り血がべったりと付着していた。これじゃあまるで食肉処理場からそのまま飛び出して来たみたいだ。これだけでまるでホラー映画の様だが、7階の階段の踊り場には友人が先ほど突き落とした男の死体が車椅子の残骸と共に転がっていた。血の匂いが鼻をついて吐き気を催す。だが俺の友人は俺を守るためなら人殺しさえやってのけると言う事が確認できた。

そのまま何事もなくビルから出ると、今の自分達の恰好のままでは人目を引きすぎる事に気づいた。血まみれの服を着た十代のカップルなんて怪しいにも程がある。もし警察なんかに呼び止められでもしたら… 気まずいなんてものじゃ済まない。

遠くでサイレンの音が響いていた。先ほどの銃声を誰かが聞いて通報したのだろうか?

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