体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その18

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その17 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

 今日は9月の第1月曜日、つまり本来なら夏休みが開けて最初の登校日だったはずだ。俺はもう二度と会えないかも知れない昔からの友人の事を考えて一日中憂鬱だった。午後には部長が小さな花のブーケを持って部屋にやってきた。そこらの道端に咲いていた花をつんで来たらしく、おせじにも綺麗とは言いがたかったけど。

部長「あなたが早く良くなるように願いを込めて作った。」

俺がここへ入院してからずっと、部長は月曜日になると必ずこうして花を持って来ては、俺のベッド脇の花瓶の枯れた花を新しい花と取り替えてくれていた。だがこうして花を持って来れるという事は、部長には外出する自由があるという事だ。つまり部長にはある程度行動の自由が許されているという事で、俺は少し安心した。

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その17

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その16 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

俺「あいつがスパイだっていう証拠でもあるのか?」

案内嬢「証拠なんてないわ、単なる勘よ。私の組織があなたのお友達を調査した時には “社交クラブ” との繋がりなんて見つからなかったわよ。」

俺「ならそういう事だろ。」

俺は素っ気なく言う。

案内嬢「でもね。」

俺「なんだよ?」

案内嬢「お友達は車椅子の暗殺者を殺している。まだ十代の少年、いや少女がいきなりの初戦でそんなに上手く戦える訳ないのよ。普通に考えればありえない事が起きた。そう思わない?」

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その16

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その15 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

 こうなったらもう自分の体の心配をしている場合じゃない。俺は危険を顧みず体を起こすと姉のいる場所へ猛ダッシュを開始する。姉はまだ先程と同じ場所に立っていて、手にしたマシンガンの安全装置を外そうと必死にいじくりまわしていた。今の俺の位置からでも姉が泣きながら体を震わせているのが見える。

俺が姿を見せたにも関わらず映写室の男の銃撃はまだ部長を追っていた。ちらりと部長の方向を見ると、彼女は手にしたスタンガンをまるで本物の拳銃の様に見せかけて映写室の男の注意を自分に引きつけていた。さすが頭が良い。

俺は中央通路に辿りつくと姉の元へ一直線に駆け寄る。その一歩一歩がとても長い時間の様に感じる。映写室の男が俺の存在に気づき、その銃口で俺を狙い始める。とにかく今は前へ進むしかない。足を止めて映写室の男と打ち合うなんてのは自殺行為だ。姉の元へ辿り着いたその後どうするか俺は考えていなかった。

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その15

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その14 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

 話を終えると俺達は再び廊下を通って11番シアターへと戻る。移動中、案内嬢はまるでそうしないと俺が飛んでいってしまうかの様に俺の腕をしっかりとつかんでいた。チケットブースの前には順番待ちの長い行列ができており、並んでいる客は皆とてもイライラしている様だった。案内嬢は笑顔になると彼らに呼びかける。

案内嬢「もうしばらくお待ちください! まもなく係の者がまいります!」

行列を通り過ぎて視界から消える頃には彼女の顔から笑顔は消えていた。劇場にたどり着くと、案内嬢は30分くらいで戻ると告げてどこかへ行ってしまった。残された俺は劇場内の様子を見渡す。

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体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その14

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その13 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

 その後もかなり長い時間、俺は車椅子の暗殺者達の手による殺人現場のグロテスクな映像を見せられ続けた。その間、案内嬢は “社交クラブ” の歴史について少しづつ説明を加える。”社交クラブ” はカナダのケベック独立運動を推進する団体として設立されたが、次第に暗殺の仕事を請け負うようになり、(それがどれほどやばい事なのか俺には解らないが)そのカルト的影響力を世界中に広げていったらしい。

俺「それで、そいつらが俺と何の関係があるんだ?」

俺は尋ねる。

案内嬢「あなたのお父さんが彼らと取引したの。あなた達姉弟は彼らに組織の一員として売られたのよ。」

俺は言われた事をあまり理解できぬまま無言で案内嬢を見つめる。

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