前置き
2019年11月のだいたい15日から18日ごろという、曖昧な日付に発売されたワタモテの公式小説アンソロジー、みなさんはもう読みましたか? まあこのブログを見に来る人は既に読んだかこれから読むつもりの方がほとんどだと思いますが、今回はその感想を書いてみたいと思います。
ただ今作はアンソロジーという事で、原作者である谷川イッコ先生と他の作家の方々とで作品の受け取り方が違うというか、感想を書くにしても作品に対する向き合い方を別けた方が分かりやすいと思ったので、記事も二つに別けて今回は谷川先生の作品に絞って感想を書いていきます。
谷川先生に対してはかつてこのサイトでほぼ誰にも知られずこっそりワタモテの感想を書いていた時のように、読んで思ったことを割とそのまま書いていきます。
谷川ニコ / モテないし夏休みのとある一日
第一幕
冒頭、夏休みのとある一日に加藤さんからのプレッシャーもあり英語の勉強をしてるもこっち。加藤さんおすすめの勉強法は個人的にはあまり効率よくなさそうだなとか思いながらも、しっかり勉強してるもこっちを頼もしく思ったり。
そして例の谷川先生のツイッターに海外ファンからちんこ画像が送られてきた事件にもこっちが言及するというギャグ。おそらくこれは谷川先生なりのファンサービスで、今でも海外ファンを忘れてないよという先生からのメッセージと受け取りしばらく目頭が熱くなりました。
第二幕
6時間ほど勉強して息抜きの時間。勉強の息抜きに同人エロRPGってどういう感覚だよ!? これが女子高生でなく男子高校生でも普通じゃないぞと思いながらの「バトルファッカーあい ~モンスター娘を犯し尽くせ~」
いつも思うんだけど谷川先生はこういうネタを一体どうやって仕入れているのか、いやそれよりなぜこういうネタを自分の作品で使おうと思うのか、ファン層によっては盛大にすべる危険なネタを躊躇なく入れてくるあたり、ある意味よほどファンを信頼してるのかも知れないと思ったり。
オーソドックスなBF(バトルファック)戦闘RPG
こういうシンプルな一文にも谷川先生のセンスが光る。その後の説明文も、バトルでセックスして勝ったらレ○プできて負けたら逆レ○プという信じられない世界観に「もこっちのつっこみがほぼない」、ここもさすがというか、しばらく読むのをやめて自分でつっこみを入れなければ先を読めないほど面白いです。
そしてふたなり。
これも一種のファンサービスですかね。ふたなりを描く作家さんだけでなく、いろんな性癖を持つ人々を内包するワタモテのファン全体に対するサービス。私がツイッターで相互フォローさせていただいてるある有名なふたなり同人作家さんがあとがきを読んで少しヤキモチを焼いていたのが微笑ましくも面白かったです。
第三幕
映画が安いという事で海浜幕張駅にでかけて短い情景描写。ロッテコラボの時に訪れて見た光景が脳内に浮かびます。私が見に行った試合も ALL FOR CHIBA DAY でロッテ選手やファンは今回のこみちゃんと同じ赤いユニフォームを着ていました。
そしてこみちゃんのロッテ談義。私は子供の頃から西武ファンですが、そこまで野球に興味があるという訳でもなくペナントレースで西武が上位にいれば少し嬉しい程度で試合を見ることもほとんどなかったけど、こみちゃんやロッテコラボのおかげで年に数回は西武やロッテの試合を見るようになりました。そんな私ですがロッテについて語るこみちゃんは人生が楽しそうでいいなと思います。
でなんだかんだ二人で Faith の映画を見ることに。ロッテはともかくオタ趣味に関しては割と一致するこの二人。この二人を結び付けてるのはゆうちゃんの存在だけど、ゆうちゃんがいないとお互いそこまで反発しあったりしないというのも面白い。二人で映画は見るけど席は離れて別々に座るというも良い。ゆうちゃんを含めたこの三人の関係は社会人になってもずっと続いて欲しいと思います。
第四幕
映画を見終わってロッテリアで感想を語るもこっちとこみちゃん。映画を見て感想を語り合いたいというのは普通だと思うけど、「映画よかったな」といいつつ欠点を探して悪口を言う方が盛り上がるというのが面白い。
私もかつて長いことワタモテの感想を書いたりしてたけど、基本的には良いと思ったところを褒めるだけで、あまり良くないと思った点については「察しろ」というスタンスで特に触れることはありませんでした。ただこれに関しては初見で面白くないと思った部分も他の人の感想を読んでいるうちに面白くなる事が多々あるので、安易につまらないと言葉にしない方が作品を楽しめるという側面もあります。
それにたとえ悪口ではないとしても、「こんなことまで熱く語ったらいくら相手がファンでもひかれるだろうな」と思って書かない事も結構あるので、ネットでの感想は結局どこまで自分をさらけ出せるのかという事に尽きるのかも知れません。まあせっかくもこっちがきっかけを与えてくれているので、後ほど今回の作品の批評に挑戦してみたいと思います。
話を戻すと、上でも言ったとおり元々ゆうちゃんがいないとそこまで反発しあわない二人ですが、もこっちがそのことを冷静に客観視できてるっぽい感じが少し驚きましたね。
ちなみにもこっちとこみちゃんが完全に打ち解けあえない理由は智貴ではなくゆうちゃんだと私は思います。これはゆうちゃんが悪いという話ではなく、ゆうちゃん・もこっち・こみちゃんの三人の関係を維持するためにはお互いに多少仲が悪いくらいがちょうど良いと、もこっちもこみちゃんも感覚的に分かってるんじゃないかって事ですね。同時にゆうちゃんがフォローしてくれるという安心感があるからこそ、二人ともゆうちゃんがいる時だけ思いっきり反発しあえるんだと思います。
こみちゃんと別れて自宅の最寄り駅に着くと夜が遅いからと智貴が迎えに来ています。年頃の娘を心配するのはわかりますが、自分が車で迎えに行くのではなく部活で疲れてるであろう智貴に迎えに行かせるお母さん。自分にも姉がいるせいで智貴が少しだけ不幸な目に合うエピソードが好きな私ではありますが、最近ちょっぴり智貴にも幸福になって欲しいと思うようになりました。今が恵まれてないとかそういう話ではなく。
批評
と言ったところで感想を一通り書き終わったので、これからは全体の批評に挑戦してみたいと思います。
主に今回参加したプロの作家さん達との比較になりますが、非常に読みやすい。文章に余計な肉付きがなくすんなり物語が頭に入ってきて、当たり前ではあるけどキャラに違和感を感じることなく読めました。
読者がワタモテファンであれば、キャラの名前が書いてあれば外見や性格はぱっと頭に浮かびます。舞台となる場所の説明も最低限あれば十分です。そういう部分をばっさりと省いてあるせいか、原作の漫画を読んでる時と同じテンポでするっと読むことができました。
でもこれは逆に言うとワタモテファン以外の、たとえば参加した作家さんのファンの方が読んだ時に面白さが伝わるのかなという部分でもあります。その点、他の作家さんはさすがプロというか誰が読んでも分かりやすい文章を書いているなという印象を受けました。
話の長さもスムーズに読めた分短く感じましたが、たぶんこれは原作1話分の長さを意識したものではないかと思います。ただもし今後谷川先生が長編を書かれる場合、ファンとしてはぜひ読んでみたい所ではありますが、このスタイルでやり通すのは難しいんじゃないかと思います。
まあこれは批判というより、物語をみせるという事に関しては作画の先生の協力があってこその谷川ニコなんだという再発見をしたというお話です。
前にツイッターで言ったことがありますが、イッコ先生はネタ選びや言葉選びのセンスは他の誰にも真似できないものをお持ちだと思うので、正直な所を言えば小説よりエッセイを読みたいとずっと思っています。
エッセイでいきなり本を売るのは難しいので、どこかでコラムの連載を持つとか実現しないかなーと考えていると、そういえばイッコ先生が漫画家を志すきっかけを作った桜玉吉が今は週刊文春でエッセイ漫画を描いている事を思い出したり。
ワタモテ単行本のあとがき漫画も人気ありますし、ああいう感じのエッセイなりエッセイ漫画を読みたいんですよね。それが売れてご飯が食べられるかどうかは各出版社の編集者のみなさんの判断にお任せしますけど。
結び
という事でワタモテの公式小説アンソロジー、谷川ニコ先生の書かれた作品に対する感想を終わります。
今回のこの本、1500円は高いんじゃないかという意見をたまに見かけます。ぶっちゃけ私も高いと思います。なので1500円の元を取るために感想記事を書いたら1500円分以上楽しむことができました。
谷川先生以外の作家さん達の作品に対する感想は今週末にでも書こうと思っていますが、まだ自分の中でどう向き合って書くか定まってないのでもう少し遅れるかも知れません。
いずれにしろまた何か記事を書いたら読んでもらえると嬉しいです。では最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。
更新お疲れ様です。
谷川先生の作品は、内容としてはまあ無難かなー原作って立場だとこんなとこかなーと大方予想通り
ただ読みやすさに関しては管理人さんのおっしゃる通りですね。読者からすると脳内で絵が浮かんでくるぐらい頭に入りやすい
他の話の感想はまだ記事になっていないので置いとくとして、ざっくり総括すると優2良1劣1廃1でアンソロとしては当たりだと思います。原作者の話以外は碌に読めたものじゃないアンソロも多いですからね世の中
栞代わりの紐までは要らなかったと思いますが
小説の感想だけでなく管理人さんのわたモテ感まで知ることができて嬉しい記事でした