今からおよそ3か月ほど前に始まった谷川ニコ先生の新連載「海浜秀学院のシロイハル」が、一部ファンの熱い期待を集めながら第6話となる最終章で突然の連載終了が発表されました。
連載が始まるのが突然なら終わるのも突然で、理由も「諸般の事情」としか説明されず、ファンの間ではその事情について様々な憶測が飛び交っています。私もその心情は理解できるものの、今回私が語るのはそういう話ではありません。
シロイハルの縛り問題
連載が始まった時に私が思ったのは「作品の題材がピンポイントすぎてすぐにネタ切れするのではないか」という事でした。谷川先生も長期連載を考えてなかったのかも知れませんが、そもそもなぜわざわざ使えるネタを狭めるような設定にしたのでしょうか。
素人考えで大変恐縮ですが、
進学校の男子高生達がバカみたいな事を真剣にやる
たとえばこのくらいの緩い設定だったら、オナニーや下ネタに限らず色々な学校あるある、男子高生あるあるをネタにお話が作れたかも知れないのになと思います。第4章で登場して一部に熱狂的なファンを生んだ棗先輩も、エロや下ネタのみで動かすにはもったいないキャラだっただけにとても残念です。
まあもともとワタモテが「ぼっち」という縛りありきの作品で、その設定を安易に変えず時間をかけてゆっくりと路線を変えていって再評価された漫画だけに、谷川先生なら設定に縛りがあっても面白い作品を作ってくれるという期待があったのも事実です。
結局、おそらくはネタ切れとは別の事情で連載が終わってしまったわけですが、叶くんや星くんや棗先輩たちが一見バカみたいな事に真剣に取り組むお話をもっと見たかったと心から思います。
棗先輩のポテンシャル
男子高生のオナニー事情ほどのニッチさではないですが、男の娘や女装男子というのはニッチな一つのジャンルとしてすでに定着した感じがあります。
性同一性障害を扱った真面目な作品もあれば萌えに特化したPOPな作品もあるなかで、私が知らないだけかも知れませんが棗先輩のような女装男子っていままでになかったんじゃないですかね?
おおむね見た目がほとんど女の子と変わらなかったり、精神的にもどこかフェミニンな雰囲気を持つキャラが多い中で、棗先輩は美形ではあるけど女装を解けばちゃんと男性で、精神的にも自分の特性をお金を得る手段として利用するドライさを持ち合わせています。
上手く言えませんが私が棗先輩から感じる魅力は萌えやエロだけではなくて、
ルパン三世の峰不二子のように、エロスを武器に賢さと精神的なタフさで立ち回る、味方にすれば頼もしく敵に回すと恐ろしい、そんな少年漫画のキャラを見ているようでわくわくしていました。
もしかしたら少年漫画になら似た雰囲気の女装キャラはいるのかも知れませんが、要はそんな非日常性を感じさせる先輩がいる学校生活は楽しいだろうなという事が言いたいわけです。
まあ連載はすでに終わってしまったので今さら言っても仕方のない事ですが、ワタモテを除いた谷川先生の作品のキャラの中では群を抜いてポテンシャルを感じていただけに本当に残念です。
アプリのコメント欄のおもしろさ
以前の記事では私は「シロイハルは他の人と感想を語り合って面白くなるタイプの作品ではない気がする」と言っていました。下ネタというのは好き嫌いがはっきり分かれる上に、笑いどころが人によって違うという事も少ないからです。
しかし連載が第3話、第4話と続くうちにマンガワンアプリのコメント欄が意外と面白く思えてきました。
シロイハルの作風がそういう人を引き付けるのか、どことなくおバカな男子高生のノリを感じます。まあ実際にコメントしているのは普段真面目な社会人の人たちなんだと思いますけど、そう考えると余計に面白いです。
私が見ている国内外の掲示板のワタモテスレで言うなら、かつてのなんJみたいな感じですかね。比較的常連が固定している他と比べて新しい読者の流入が多く、まるで「新しい宝物を見つけた」かのような興奮が伝わってきます。
公式の場であるだけに荒らされにくいというメリットと共に批判的なコメントもしにくいというデメリットもありますが、もうちょっと長く彼らと一緒にシロイハルでわいわいと楽しんでいたかったです。
あとマンガワンアプリにはワタモテのガンガンオンラインアプリにはない機能があって、なんと作品を読んだりコメントしたりするだけでなく課金して作品を応援できるのです。
課金とか投げ銭とかいうとなんかすごい今どきのシステムだなーと思いますが、マンガワンアプリのヘルプによると
・ハートマークの「ライフ」を使って作品を読むと 1P
・広告動画を見てもらえる「SPライフ」を使って読むと 5P
・有料で購入できる「チケット」を使って読むと 50P
・1日1回無料で押せる「応援ボタン」で 1P
・「SPライフ」を消費して応援すると 5P
・「チケット」を消費して応援すると 50P
という風にそれぞれ「応援ポイント」が加算されて、作品ごとに取得した応援ポイントによってアプリで掲載されるランキングの順位が決定されるという仕組みです。
そしてコメント欄にはコメントした人が作品に貢献した応援ポイントが一緒に表示されるんですが、だいたいの人が数ポイントから数十ポイント、多い人でも数百ポイントという中で、この記事を書いている12月5日の現在、3万7千ポイントも応援している人がいらっしゃいます。
3万7千をチケットの応援ポイント50で割ると740です。チケットの購入は360枚で1万1千円なので(+SPライフが72個もらえる)、この方はおそらく2万円以上課金して作品を応援している事になります。
結局だからなんだってわけじゃないですが、ちょっとすごいなと思ったので長い説明と共に紹介させていただきました。
結び
まあでも、今さら何を言ったところで連載は終わってしまったので最終的には楽しかった思い出と共にまた一つお祭りが終わったなという寂しさが残ります。
ワタモテファンとしてはこれでワタモテの連載に集中してもらえるならそれはそれで悪くないという複雑な思いもあります。
それはそれとして、もしまた谷川先生が新たに連載を始められて、その作品を面白いと思えたならまたどこかの掲示板でみなさんと一緒に盛り上がりたいなと思います。
以上、最後までお読みいただきどうもありがとうございました。
ワタモテの原画展を見て来ました
イッコさんの繊細なテクニックが、少女漫画家のコピー原画集を思い起こされるほど美しかった…
あの繊細な手遣いでこの絵面をと思う時の
興奮するような寂しいような不可思議な感情にもうめぐり逢えないと思って
少しだけ、ほんのちょっとだけ悲しいです…
ニコさんとイッコさん間違えてた…
急な終了はホント残念でしたが、いつか真相を語ってほしいですね…