モテないし残されるもの
収録巻 | 26巻 |
英題 | |
ページ数 | 16 |
初出 | 2024年9月19日(アプリ) |
里崎希心はファミリーレストラン「ゲスト」にて宿泊をお願いしていた田村ゆりの自宅を根元陽菜と共に訪れていた。ゆりに自室を案内され、それぞれ感想を述べる二人をよそに無表情・無言のゆり。当初、ゆりはきーちゃんからのお願いを断わったが、黒木智子や加藤明日香たちのとりなしと根元さんが同行を申し出たことで三人は夜を共に過ごすことになったのだ。その後、ゆりは自室に入ったばかりの二人に対してそろそろ寝ようかと言い出すのだが…。
ネモ…あのピンクのイタいお姉ちゃんはOKなの?(黒木智子)
私はかわいい界隈の人間だから(根元陽菜)
ううん友達連れて来るの久しぶりだから嬉しいわ(田村母)
根元さん 一緒にお風呂入る?(田村ゆり)
でもこういう空気少し楽かも 私を子供扱いしないと言うかお互いがお互いを気にしないって感じ……(里崎希心)
楽……1)楽【らく】だから一緒にいる(田村ゆり)
本話でのゆりはきーちゃんを「智子の妹」と呼んでいたが、きーちゃんは智子の妹ではなく従姉妹である。これは二人が直接対面するのが初めてで、ゆりが智子ときーちゃんの関係性を認識していないことが大きいが(この時、状況的にきーちゃんはゆりに説明できたはずだが、なぜか口にしていない。理由は不明)、夏休み直前に偶然再会した智子と小坂くんの会話から彼女に妹がいると思ったこと(喪163「モテないし夏」)や、きーちゃんが智子を「お姉ちゃん」と呼んでいることも理由であると考えられる。なお、ゆりの「き……」「きー……」というセリフから、当初は智子や根元さんのようにきーちゃんと呼ぼうとしていたものの、結局呼ぶことができなかったという心情が窺える。
ゆりはきーちゃんから智子と仲良くなった理由を尋ねられた際に「楽……楽【らく】だから一緒にいる」と、最初に何かを言いかけた後に言い直しているような説明をしていたが、最初のルビが振られていない「楽」は「楽しい」を指していると考えられ、太字のフォントで強調されていることもそれを裏付けている。彼女の性格上、上の項目のきーちゃんの呼び方と同様に本当は楽しいからと言いたかったけれど、結局は言えなかった様子が窺える。なお、ゆりは喪112でも「無理して話さなくていいから楽だけど」と言っている。「楽」は智子とゆりの関係を端的に示したキーワードである。
風呂キャンセル界隈はネットの流行語。Wikipediaによると、発端はX(旧Twitter)への投稿。
ゆりが想像した真子はルシファーなどの堕天使であろう。白い翼は天使の側面を、黒い翼は悪魔の側面を示している。ゆりにとって真子は友人でもあるが、裏切り者でもある。そういった彼女の複雑な心境を白い翼と黒い翼で表現しているのだろう。