体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その22 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。
部長に車椅子を押してもらって今度は階段を下りる。これは上りの時に比べてかなりの恐怖体験だったが、なんとか無事にエレベータの所までたどり着く事ができた。5階に戻ると部長の病室へと戻り、ここから自分の病室まで一人で戻った方が良いと部長が言う。俺は部長に別れを告げて部長の病室を後にした、三日後にまた屋上で会う約束をして。
自分の力で車椅子を漕ぐのは痛みを伴ったが、俺はにやりと笑ってそれに耐える。しかし再びエレベーターまで戻る直前、俺は廊下をうろつく姉の姿を見つけた。姉はどうやら寝起きの様だった… この姉はいつも寝起きみたいな格好をしているけど。
姉「ともくん、こんな所で何をしてるの?」
俺は姉に自分の病室まで連れて行って欲しいと頼もうとした。
俺「ちょうど良かった。姉ちゃん悪いけど…」
その時俺の頭にまるで頭の中でグレネード弾が爆発して頭蓋骨が吹き飛びそうになる様な激痛が走り、俺は上半身をよじってもだえる。
姉「と、ともくん…?」
俺は息を大きく二回吸うと、痛みに耐えながら体を起こす。
俺「あ… ごめんな。なんだが頭が痛いんだ。それより悪いけど…」
「姉を殺せ」
俺は痛みに再び体をよじってもだえる。
姉「ともくん待ってて! 今誰か呼んでくるから!」
俺「い、いやダメだ!」
「姉を殺せ」
まるで小さな百本の指がそれぞれ違った方法で俺の脳みそをかき回している様な感覚に襲われ、俺は頭を抑えてもがき苦しむ。
部長「どうしたの?」
背後から部長の声が聞こえた。
姉「わ、わからないの! ともくんが突然苦しみ出して…」
部長「誰か呼んで来る。」
姉「私もさっきからそう言ってるのに!」
俺「ダメだ!」
頭の激痛に耐えながら力を振り絞って俺は叫ぶ。その拍子に俺は車椅子から床に転げ落ちた。
「姉を殺せ」
俺「嫌だ…」
俺は弱々しく言う。
「姉を殺せ」
「姉を殺せ」
俺「嫌だ!!」
俺が叫ぶと姉が俺の側に来てしゃがみ込み、部長は助けを呼びに廊下を駆け出す。床に転がった俺の位置から姉の首はとても細くもろそうに見えた。手を伸ばせば簡単にひねる事ができるだろう。そうでなければ髪の毛を掴んで姉の顔面を床に叩きつけても良いかも知れない…
俺は姉から顔を背けて危険な考えを頭から振り払った。
俺「嫌だ!」
脳内に響き渡る謎の声に向かって俺は叫ぶ。
姉「ともくん… いったいどうしちゃったの?」
俺は姉ちゃんを殺したりしない。俺は姉ちゃんを殺したりしない。
「姉を殺せ」
「姉を殺せ」
「姉を殺せ」
CPUエラー CPUエラー CPUエラー
重大なエラーが発生しました
システムをシャットダウンします
翻訳後記
以上で全23回に渡ってお届けしてきた「体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い!」の翻訳は終了です。
投稿者はこの時点では次回予告をするなど続きを書く気はあった様ですが、結局そのまま失踪してしまったので事実上ここで終わりとなります。私はSSとか書いた事ないのでよく解りませんが、おそらく話を広げすぎて収拾が付けられなくなったんでしょうね。
みなさんも色々言いたい事があるでしょうけど、私としてはもう少し「姉」の出番があると期待していたのにほぼ脇役扱いだったのが残念でしたね。
なお「俺」以外の登場人物にはそれぞれ元ネタとなったキャラクターがいた様なので、それをここで紹介します。もこっち以外はあまり良く知らないので翻訳に反映させたのは部長の話し方くらいですけど。
姉 – 黒木智子 (私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!)
友人 – 戸塚彩加 (やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。)
部長 – 長門有希 (涼宮ハルヒの憂鬱)
案内嬢 – 藤和女々 (電波女と青春男)
最後に、話の展開は色々と予想外でしたが翻訳作業はそれなりに楽しかったです。私の稚拙な訳文に最後までお付き合いいただきどうもありがとうございました。
とりあえずお疲れ