やる事がなくて暇なので、以前4chanに投稿されたSSを翻訳します。
姉というのは一体どんな存在だろうか? 成熟したメリハリボディ? ちょっぴり意地悪だけど愛情豊かで過保護? 一緒にいると楽しい?
ああ、姉ってのはそんなに良いシロモノじゃなく、むしろ最悪の存在だ。だから俺が特別に運が悪いって訳じゃなく、世間が俺に嘘をついてるという訳でもなく、姉ってのは大抵クソみたいな存在なんだ。
夕方近く姉が家に帰ってきた。あの姉が外出するのはめったに無い事で、特に今が夏休みという事を考えれば異常と言ってもいい。今朝なんの説明もなく家を飛び出したかと思えば、帰宅してからも何やら急いでいる様子で、玄関でドタバタと物音を立てている。もし両親が旅行で家を留守にしてなければ、きっと怒られたに違いない。
俺はベッドに横になりながら、ため息をついてヘッドホンをつける。こうすればもうあの鬱陶しい姉に悩まされる事もない。しかしヘッドホンから音楽が流れだすよりも先に、姉の足音が俺の部屋に近づいて来た。
姉は俺の部屋の前に立ち、ドアの向こうでぜえぜえと荒い息を立てている。今日一日猛暑の中を歩き回ってきた姉の体臭を想像してしまい、俺は少し身震いをする。
姉「はあ…はあっ…!!」
ちくしょう。何か用事があるなら早く言えよ。
俺「そこにいるのは姉ちゃんだろ?」
姉「と…ともくん…」
まだ息が切れているのか、姉の声は小さくて聞き取りにくかった。姉は大きく深呼吸をして、もう一度言う。
姉「と…ともくん…」
俺はドアを開けた。本当は嫌だったが、この姉は何もせずにおとなしく帰る様なタマじゃない。ヘッドホンを外してドアを開けた瞬間、まるで冷房の利きすぎたコンビニに入った時の冷気の様に、姉の体臭が鼻をついて一瞬気を失いそうになる。
気を取り直すために咳払いをして鼻をつまみ、汗でびっしょりに濡れた制服を着て顔を真っ赤にしながら突っ立ってる姉を見る。ちくしょう、マジで一日外を走り回ってきた様だ。似合わない事しやがって…
姉「ねえ…」
おどおどした態度で姉が言う。
俺「なんだよ」
俺は手で口と鼻を抑えながら尋ねる。
俺「何か用事があるんじゃないのか?」
姉「うん…。あの…その… とても大事な話があるんだけど… あの…できたら部屋の中で話さない?」
もし部屋に入れたら後で部屋中を殺菌消毒しなければならなくなりそうだが、この姉のウザいくらいのしつこさは身に染みて解っている。仕方がないので姉の用事ができるだけ早く終わる事を祈りながら部屋に入れると、姉はベッドに腰掛ける俺の目の前の床にちょこんと座った。
俺「それで、そんなびしょ濡れのままシャワーも浴びずに話さなければならない用事ってなんだよ?」
姉「こ、これってもしかしてエッチな本?」
姉はすぐ横に転がっていたエロマンガを指さして言った。俺は顔をしかめながら、エロマンガをベッドの下に投げ込んで視界から消す。
俺「何か悪いか? 生ごみみたいな匂いをさせながら俺の部屋に入ってきて、言いたいのはそれだけか? なら出てけ!」
姉「違うの! ごめんなさい…」
俺は深呼吸をして気を静める。この姉にデリカシーなんてものが無いのは今に始まった事じゃない。
俺「で? 何の用だよ?」
姉「あのね、今日ちょっとおかしな事が起こったの。」
俺「へえ、それはびっくりだ。」
姉「それでね、ともくんに助けて欲しいの。」
俺「だろうな。」
姉「私、追われてるの。」
俺はびっくりして息を飲んだ。近づくだけでも大変な悪臭を放つこの姉を追いかける変人がいるだって? 存在自体がおかしなこの姉の後を付け回すさらにおかしな変人がいる…。にわかにはとても信じられないが、どうやら本当の事を言ってるようだ。姉は本気で俺に助けを求めている。
俺「追われてるって、誰に?」
姉「暗殺者に。」
体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その2 へ続く
体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! について
このSSは、2013年8月の7日から4日間に渡って4chanの/a/ (アニメ&漫画板)に投稿されたものを翻訳したものです。
設定の下敷きにワタモテを一部借りていますが、登場人物は智貴ともこっちではなく、「俺」と「姉」です。姉が弟の事を「ともくん」と呼んでいますが、これは私が翻訳の都合上改変したもので、原文では “anon (4chanの名無し)”と呼んでいます。ワタモテのSSを期待した方には申し訳ありませんが、これはワタモテのSSではありません。
また原文だと話がある程度進んだ所で投稿者が選択肢を提示し、スレ住人に選んでもらう形で物語が進行しますが、翻訳にあたってはそういう要素は省いています。
原文を下読みをせずに初見で翻訳しているので、この先どんな展開が待っているのか実は私にもまだ解らないのですが、唯一解ってる事として、このSSは投稿主が途中で失踪してしまったため物語が未完で終わります。
とても大事な事なのでもう一度言います。このSSは、ネット上のSSにしては結構長く続きますが、物語は途中で終わっています。それでも構わないという方のみ、今後も私の暇潰しにお付き合いください。
オリジナルURL:
・http://boards.4chan.org/a/res/90974111
・http://boards.4chan.org/a/res/91040595
・http://boards.4chan.org/a/res/91167842
・http://boards.4chan.org/a/res/91231452アーカイブ:
・http://archive.foolz.us/a/thread/90974111
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