体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その17

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その16 の続きです。初めての方は その1 からどうぞ。

俺「あいつがスパイだっていう証拠でもあるのか?」

案内嬢「証拠なんてないわ、単なる勘よ。私の組織があなたのお友達を調査した時には “社交クラブ” との繋がりなんて見つからなかったわよ。」

俺「ならそういう事だろ。」

俺は素っ気なく言う。

案内嬢「でもね。」

俺「なんだよ?」

案内嬢「お友達は車椅子の暗殺者を殺している。まだ十代の少年、いや少女がいきなりの初戦でそんなに上手く戦える訳ないのよ。普通に考えればありえない事が起きた。そう思わない?」

俺は顔をしかめる。

俺「まだ体のあちこちが痛むんだ。」

親友がスパイかも知れないなんて話をこれ以上続けたくはなかった。

案内嬢「それはお互い様よ。」

案内嬢は自分の頭の包帯を指さす。

案内嬢「私の左目はほとんど見えなくなったわ。同時に遠近感も失われたから、もう今の仕事を続ける事はできなくなってしまった。おまけに一生頭痛に悩まされる事が決まってるしね。」

俺は手を伸ばして案内嬢の手を握る。どうしてそんな事をしたのか自分でも解らなかったが、考えるよりに先に体が動いた。案内嬢の表情がゆるんで自然な笑顔になる。彼女のこんな顔を見るのは初めてだった。彼女は俺の手を強く握りかえし、しばらくそのまま時が止まる。彼女の手は少し汗でべとついていたが、まあ今は気にしないでおこう。

案内嬢「まだ… 他にもあるのよ。」

俺から目をそらしながら彼女は言う。もうこれ以上悪いニュースなんて聞きたくはなかったが、俺は先をうながす。

案内嬢「あなたが手術を受けている時に医者がおかしな物体を見つけたの… あなたの頭の中に。」

……

 話が終わると俺は案内嬢に頼んで医者にモルヒネの量を増やしてもらった。そのせいで俺はその後数日、意識がはっきりとしないまま麻酔の海を漂いつづける事となる。

時おり目を覚ますと姉が部屋にいてDSか何かの携帯ゲームをプレイしていた。俺は姉に特に何も言わず、姉の方も俺が目覚めている事に気づく事もなかった。

また別の時に目を覚ますと部長がいた。俺はもちろん部長は黙ったままただそこにいるだけだったが、あの劇場での事件の後、彼女が今どういう立場に置かれているのか少し気になった。怪我一つしていない健康体のはずなのに、彼女も病院で寝起きしている様に見えた。

案内嬢は俺が目を覚ますと必ずそこにいた。俺がここに来てから彼女は俺の側を片時も離れていない。俺のベッドの横にリクライニングチェアを持ち込んでそこに完全に根を下ろし、「俺の」ベッドサイドテーブルをビールの空き缶や煙草の吸殻で満杯の灰皿で占領していた。俺はそんな彼女を少し可愛らしく、そして少し気味悪いと思っていたが、実は彼女は俺を監視するという任務を続けていただけだったという事が後で判明する。

その時、案内嬢は俺に二つの事を告げた。一つは俺のリハビリには数ヶ月を必要とする事、もう一つはリハビリを終えたら俺のトレーニングが始まるという事だ。

体の不自由な暗殺者達が俺の命を狙うのはどう考えてもお前らが悪い! その18 に続く

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